ラシャ鋏のハガネの構造

きのうお話した、ラシャ鋏のランク分けとハガネの構造についてお話します。大きく分けて三段階ありますが下図は一般的な中級と上級の、鋼(ハガネ)と地金(軟鉄)の構造について、画像の四角いネジ穴のすぐ左側に鋼と地金の境目が有るのが分かりますか。右側足の部分は全部地金で左側刃先の部分は鋼と地金の二層構造になっています。その鋼の終わりの部分がネジ穴左側の筋です。鋏を研いで刃幅が細くなっても鋼が全面有りますので十分切れます。

次に下図の並級の刃を見ていただくと、下側が切れる刃の部分ですが、その刃に沿って少し黒く見える部分がありますが、これが鋼です。以前は全鋼と言って全部鋼材で、切れる部分だけ焼き入れをしていたものが、最近では鍛造技術の向上で少しだけ鋼を付けられるようです。これも全鋼と呼んでいます。この部分が減ってなくなってしますと切れなくなってしまします。

地金付の鋼は、硬く焼き入れできますので、動きもスムーズで長い間良く切れます。全鋼の鋼は、少し柔らかく焼き入れしておかなくては折れてしまうことがあるので、動きが粘っこく長い間切れません。地金付き構造は日本独特の鍛造構造です。